株式会社セブン&アイ・ホールディングス | 株式会社エモーションテック

CASE STUDIES

導入事例

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

デジタルマーケティング部CRM推進
藤野さま(写真右)
海本さま(写真左)

NPS調査の結果をベースに、ロイヤルカスタマーの創出へ セブン&アイ・ホールディングスが、セブンマイルプログラム開始当初からNPSを活用したワケとは

セブン&アイ・ホールディングスでは、セブン-イレブンなどのセブン&アイグループ店舗や総合通販サイト「omni7」でのお買い物で、グループ共通のポイント「セブンマイル」がたまる「セブンマイルプログラム」を2018年6月から展開しています。
2018年6月のサービス開始当初から、重要指標としてNPSを活用していたその方法を取材しました。

ポイントプログラム「セブンマイルプログラム」について、教えて下さい。

藤野氏:
「セブンマイルプログラム」は“いつものお買い物で私だけのHappyを”をコンセプトに、セブン-イレブンやイトーヨーカドー等のセブン&アイグループの対象店舗でのお買い物でグループ共通の「セブンマイル」がたまるプログラムです。

貯めた「セブンマイル」はnanacoポイントやここでしか手に入らない限定グッズなどに交換することができ、当プログラム上のCX(顧客体験)を通じて、セブン&アイグループでのお買い物を少しでも楽しんでいただけるよう様々な施策を展開しています。
これまで、それぞれの業態で個別にポイントプログラムなどを提供していましたが、よりメリットを感じていただけるように当プログラムを2018年6月より展開しています。

サービス開始当初からNPSを活用し、ロイヤルカスタマーの増加に向けた検証をスタート

NPSを活用しようと思ったきっかけは何でしたか。
セブン&アイホールディングス2枚目
藤野氏:
実は、プログラム開始当初からNPSを活用しようと考えていました。購買金額や購買回数などの定量的なデータ分析は、これまでも実施していたのですが、それだけでは「“なぜ”サービスを使っていただけているのか」といったお客様の声や感情が見えてきません

私どもの提供する「セブンマイルプログラム」のCX(顧客体験)により、普段のお買い物を楽しんでいただけているか、サービスがお客様に受け入れられ、ご満足いただけているかをNPS調査によって確認し、調査結果に基づくCX改善施策を実行していくことを計画していました。

このNPS向上の取り組みに協力いただけるパートナーを探していた中で、エモーションテック社にお声がけしました。
改善アクションを実行していくためには、各サービスの担当者や事業会社へわかりやすく説明していく必要があります。

顧客体験マネジメントサービス「EmotionTech CX」では、カスタマージャーニーマップ分析によって、どのCXから優先的に改善するべきか一目で把握できるので、スムーズにNPS調査結果を改善に活かせるのではないかと考えました。

また精度高い調査結果を得るためには、調査設計が重要になってきます。CXの整理から、調査への落とし込みまでサポートいただける点が魅力的でした。
セブン&アイ・ホールディングス_04

―どのようにNPSを活用していますか。

藤野氏:
グループ全体のKGI(目標)としては、「ロイヤルカスタマーの増加」を掲げています。そしてKGIに紐づくKPIとして、購買金額や購買回数といった定量データに加え、定量データからは捉えることができないお客様の声・満足度といった定性データを見える化することができるNPSをKPIの1つとして位置付けています。

私共の提供したサービスがお客様にご満足いただけているか、よいCXを提供できているかNPSを測定することで把握し、CX改善につなげる活動を進めています。

「セブンマイルプログラム」に対して実施した第1回NPS調査では、「セブンマイルプログラム」の基本的な価値である「セブンマイル」に対して、「使い方や貯めるメリットがわかりづらい」といった声があり、お客様の声を確認することの重要性を強く感じることができました。

その後、NPS調査結果が判断材料の1つとなり、19年9月に「セブンマイルプログラム」の仕組みを抜本的に見直し、20年6月にはサイトデザインをシンプルに見直し、「わかりやすさ」を追求しました。

海本氏:
分析を進めていくと、NPSが顧客の購買行動に強く関係していることも見えてきました。これまでは、ロイヤルカスタマー育成というテーマに対して、購買金額や回数をどう改善していくかといった議論が中心でした。

しかし、NPSの数値が購買金額などと相関していることが調査結果から分かり、NPSを高めることが結果的にロイヤルカスタマー育成に繋がるということをチーム内の共通認識として持つことができました。

藤野氏:
NPSに基づくCX改善に取組み始めて3年目になりますが、じわじわとメンバーに取組みが浸透し始めた手応えを感じ始めています。

「購買金額を上げるためにどのような施策を打とうか」ではなく「どのようなCXを提供すれば、NPSを上げることができるか」と言った意見がメンバーから出てきたときは、思わず鳥肌がたちました。

セブン&アイホールディングス3枚目

お客様を「サービスに引き込む」CXを発見

―調査からどの様な結果を得ることができましたか。

藤野氏:
「セブンマイルプログラム」についてよく理解いただいているお客様のNPSスコアは高く、購買金額等の収益指標との相関関係が確認できた一方で、その人数は限られており、まず率直に、「セブンマイルプログラム」で提供している各種機能・サービスが理解されておらず、認知そのものも弱いということが分かりました。

もともと「マイルを貯めたい」と思って「セブンマイルプログラム」を始められる方よりも、「セブン-イレブンアプリ」や「omni7」などをご利用いただく中で、「セブンマイルプログラム」の存在を気づく方がほとんどです。ですので、まずはアプリ利用者の「セブンマイルプログラム」の認知・理解を高めていく施策を打つ必要があると感じました。

海本氏:
調査の中では認知経路なども聞いており、一例として「セブン-イレブンアプリ」のNPS調査結果から「【セブンマイルプログラム】を知っているアプリ利用者は、アプリのNPS(推奨度)が高い」ということを確認しました。

確認結果をアプリの担当者の方に共有することで、これまで以上にアプリや公式SNSでの「セブンマイルプログラム」の告知をしてくれるようになりました。データによって告知をすることのメリットを示せたことは、とても有り難かったです。

―CXについて、どの様な発見がありましたか。

海本氏:
「セブンマイルプログラム」の機能の一つに、ほしいと思った特典をリスト化できる「ほしい特典リスト」という機能があるのですが、この機能を使ってもらうという体験が、顧客にとって重要であることが分かりました。

ほしい特典リスト-セブンマイルプログラム

サイトの来訪頻度などがNPSに影響するというのは直感的にもわかりやすく、これまでも来訪頻度を増やすためのキャンペーンなどは色々と実施していましたが、この「ほしい特典リスト」への追加がNPSを向上させていくために重要な体験だとわかったことが新たな気づきでした。

調査以降は「ほしい特典リストへの追加」を行うことでマイルが貯まる施策なども継続的に実施をしています。

藤野氏:
「ほしい特典リスト」の登録をしていただくということは、マイルで交換できる特典にはどんなものがあるのかご覧いただくことが前提となります。施策を通じて特典をご覧いただく、「ほしい特典リストの登録」という2つのCXを体験できるよう設計しています。

マイルを貯めることで交換できる特典をみつけてもらうことで自然に「マイルを貯めよう」という気持ちになり、お客様にとってマイルの価値を感じてもらえる施策だと考えています。

NPS調査ではどのCXを経てもらうことでお客様を引き込むことができるのかを把握することができ、非常に有効だと感じています。

NPSチームを中心に、感情データを基にしたロイヤルカスタマー育成ステップを模索する

―調査結果を活用していくためにどのような工夫をしていますか?

藤野氏:
よりよいCXを提供することがNPS向上につながり、さらにLTV向上につながる。NPSを測定して終わりではなく、お客様の生の声を確認し、課題を抽出し、改善し、検証するPDCAを回していくことが重要だと考えています。

「セブンマイルプログラム」の運営はいくつかのチームで役割分担をして行っています。マイル2倍キャンペーン等の施策を検討するチーム、マイルで交換できる特典を企画するチーム等です。

そのようなチームの1つとしてNPSチームがあり、各チームでNPS調査結果に基づくCX改善活動を回していくための全体推進・各チームのサポートを行っています。NPSチームのメンバーは各チームの代表者で構成されています。

NPSチームでは、NPS調査の設計から調査結果の確認・改善アクションの議論まで各チームのメンバー代表と一緒に進め、CX改善施策の方向性までを固めます。各チームメンバー代表は、自チームに内容を持ち帰りCX改善施策を具体化し、最終的に実行までを自チームのNPSリーダー的な存在で推進します。
セブン&アイ・ホールディングス_02
実はこうした体制になっているのには、1回目のNPS調査の反省があります。

当初行った調査のときには、極論すると調査結果のレポートのみを各チームへ共有していました。しかし、それが失敗でNPS向上に取り組む目的の理解を得ることが不十分だったこともあり「なぜこのような質問をアンケートの中でしているのか」等、そもそもの調査設計の部分に対して懐疑的な意見がメンバーから噴出し、調査結果に基づく施策の検討に辿り着くまで多大な時間を要しました。

その反省を踏まえ、各チームが集まる会議の場で定期的にNPSに取り組む目的について発信しチームメンバーの理解を深めていくことと、調査結果に基づくCX改善を進めるPDCAサイクルを効率よく回していくために各チームの代表者からなるNPSチームを結成しました。

現在のNPSチームでは各チームの代表者と一緒に調査設計や、調査結果に基づくCX改善施策の方向性までを検討しています。

各チームの代表者は、自チームに検討結果を持ち帰り、自チームでのNPS推進リーダー的な立場でCX改善施策の具体化・実行を進める形を取っています。必要に応じて各チームの検討に私も参加してサポートすることもしています。

海本氏:
ロイヤルカスタマーの育成に向けて、お客様がどの程度「セブンマイルプログラム」へ愛着を持ってくださっているのかを「ステージ」として表現し、ステージごとにロイヤルティ向上施策を展開しています。

「ステージ」の検討にあたっては、どんな基準が適切か?といった議論の中で「NPS調査の結果を活用しよう」となり、先程の「ほしい特典リストへの追加回数」を基準の1つに加えました。

これも、リストに追加したからといって、本当にそのためにマイルを貯めてくれるのか?という疑問の声もありましたが、「もう一回、お客様の声を確認しよう」と調査結果を振り返り、改めて重要性を認識したという経緯があります。
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NPSの結果を基に、こうしてロイヤルカスタマー育成の道筋を明確にしたことで、日々のマーケティング活動の目的がシャープになり、ロイヤルティ向上に効果的な施策が実行できるようになったと感じています。

セブン&アイ・ホールディングス全体で、より顧客に寄り添ったサービス開発を目指す

今後の展望について、どの様なことをお考えですか。

藤野氏:
まずは、しっかりと「セブンマイルプログラム」や「セブン-イレブンアプリ」などに対するお客様の声を継続的に聞き続けCX向上に反映する取り組みを継続していきたいと考えています。
「セブン-イレブンアプリ」では、PayPayとの連携も始まり、アプリの使い勝手や利用頻度なども大きく変わってくるのではないかという仮説を持っています。

こうした一つ一つの施策が、お客様にどのように受け入れられているかを確認し、次の改善に繋げていく意味でも、継続的にNPS調査を実施していくことが重要だと考えています。

海本氏:
もう一つは、「セブンマイルプログラム」やセブン-イレブンだけでなく、セブン&アイグループ全体にNPSの重要性をきちんと共有して行けたら良いなと考えています。まずは「セブンマイルプログラム」のCX向上の取組みにおいて成功体験を作ることで、グループ全体にその効果を拡大していきたいです。

セブン&アイホールディングス4枚目

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