「20万円の決裁権」リッツ・カールトンが生み出す顧客感動とは | 株式会社エモーションテック

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2023.03.27

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「20万円の決裁権」リッツ・カールトンが生み出す顧客感動とは

世界70ヶ所でホテル&レジデンスを展開する、ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー。「全米一のサービス品質」「世界で最も優れた企業」など、幾多の受賞歴を持つリッツ・カールトンは、国内外で、高級ホテルとしてトップクラスの評価を獲得し続けています。

従業員一人ひとりに判断を一任する方法でつくり出す「顧客感動サービス」は、数々の感動エピソードと共に、顧客感動そして従業員満足を高い水準で維持しています。

ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーは、どのようにして、「満足」ではなく「感動」をもたらすホスピタリティを生み出しているのでしょうか。

「神秘」と呼ばれるリッツ・カールトンのサービスにまつわるエピソード

「大事な書類をリッツの部屋に忘れてしまった。それがなければ大変なことになるところだったが、従業員が飛行機でそれをすぐに届けてくれて事なきを得た」

「海辺でプロポーズをしたいとビーチ係に話した。浜辺に行くと、シャンパンと一輪の花がテーブルに用意され、タキシードに身を包んだその従業員が待っていた」

「結婚記念日に宿泊しようとした夫婦が緊急の事情でやむを得ずキャンセル。落ち込んでいたら家の前に一台の車が泊まるのが見え、”ザ・リッツカールトンホテルからのお届け物です!”と運転手が差し出したのは、シャンパンとグラス、焼きたてのクッキー、バスローブ、さらに従業員からの祝福のカードだった」

「ニューヨークのリッツを利用したとき、固い枕に変えて欲しいと頼んだら、次にモスクワのリッツに泊まったら、そこには、固い枕が用意されていた」

こうした数々の「神秘」エピソードを世界各地で生み出すリッツ・カールトン。その秘密はどこにあるのでしょうか。

ホテルが誓う「従業員への約束」

リッツ・カールトンは、お客様だけでなく従業員も“お客様”のように扱います。従業員同士がお互いをもてなすことで、堂々とした立ち振る舞いや豊かな感性を身につけることができます。

従業員は皆、「クレド」と呼ばれる行動指針の書かれたカードを身につけています。そこには、「従業員への約束」のほかに「ホテルのモットー」「サービスの3ステップ」などが記載されています。そして、その冒頭に綴られる「(お客様へお約束したサービスを提供する上で)紳士淑女こそがもっとも大切な資源」という言葉を、リッツ・カールトンは体現し続けているのです。

「従業員第一主義」が「感動」を最大限に引き出す

「顧客を感動させるためのカギ」は、「従業員自身がどれだけ自分自身の仕事に感動、感激できているか」です。顧客の喜びを知る感動、自分自身の力が伸びたと実感できる感動、個人では出来ないことがチームで実現できる感動、伝説の一部となれた感動、それらを自身が享受せずして、お客様に提供することはできないのではないでしょうか。

「従業員第一主義」とは、「職場環境」や「高い賃金」という言葉につながるものではありません。従業員のメンタリティの醸成によって実現していくものです。

リッツ・カールトンは、お客様の要求に対し簡単には「ノー」と言わず、むしろ期待を上回るサービスを提供することを求めます。これは「セレブリティな紳士淑女に見合う人間たれ」という、従業員に対する愛情、信頼、自信の表れなのです。

各従業員に認められた1日「2000ドルの決裁権」

リッツ・カールトンの従業員は、自分の判断で行動することができます。お客様のわずかな言葉や態度を見逃さず、先読みをしてタイミングよくサービスを提供する。その決済権を従業員一人ひとりに与えることで、迅速かつ的確なサービスを生み、お客様に「感動」を提供するのです。

リッツ・カールトンでは、顧客感動体験を「ワオ・ストーリー」と呼んでいます。そして、世界各地で誕生した「ワオ・ストーリー」を共有することで、従業員のモチベーションを維持します。

また、各従業員に「2000ドルの決裁権」を委譲することで、一人ひとりが組織の中で責任を持ち、個人としても成功をおさめるよう促しています。データベース化された顧客情報をもとに、各従業員が常に高いアンテナを張り、小さな演出から「伝説」まで生み出しつづけているのです。

おわりに

リッツ・カールトンが、世界で、顧客そして従業員から愛され続ける理由は、第一に従業員を重視しホスピタリティの自主創造を促すことで、顧客満足そして顧客感動を生み出している点にあると言えます。

「クレド」に記されるシンプルな「仕事の基本」の数々。それを従業員一人ひとりが実現し、多くの人々が評価するリッツ・カールトンの方法論は、「感動」が求められるビジネスへの大きなヒントになるのではないでしょうか。

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